人文・思想

疑似科學を信じるな

かつてレーガン米大統領は、政策判斷に占星術師の意見を取り入れてゐたことが曝露され、世間の物笑ひになつた。しかし少なくとも現在の日本人にレーガンを笑ふ資格はない。占星術と五十歩百歩の疑似科學によつて經濟政策を決めようとしてゐるからだ。その疑…

自由で人は孤立しない

自由は個人を孤立させ、社會の絆を分斷するといふ、よくある主張は誤りである。自由が擴大しても、進んで選んだ場合は別として、他者との關係が稀薄になることはない。それどころか、自由な社會でこそ、人はさまざまな他者と知り合ひ、影響し合ひ、助け合ふ…

ふしぎな「資本主義の精神」

今年ベストセラーとなつた橋爪大三郎・大澤真幸『ふしぎなキリスト教』(講談社現代新書)は、誤りが非常に多いとしてキリスト教徒からツイッターで批判されてゐたやうだが、その内容がふツー連編『ふしぎな「ふしぎなキリスト教」』(ジャーラム出版)とい…

戰爭は國家の健康

公開中のフィンランド獨豪合作映畫『アイアン・スカイ』(ティモ・ヴオレンソラ監督)は、月に潛んでゐたナチスドイツの殘黨が地球に襲來するといふ奇想天外な物語である。この映畫のすばらしさは、單純にナチスを惡玉、米國を中心とする地球側の諸國家を善…

ゴネ地主を擁護する

あるきつかけで、公開中の映畫『グラッフリーター刀牙(とき)』(藤原健一監督)を都内で觀て來た。正直あまり期待してゐなかつたのだが、これが面白かつた。馬鹿馬鹿しさに徹したところがよい。そしてもうひとつ、市場經濟の本質とは何かを考へるヒントに…

自由は弱者にやさしい

自由主義は「強者の論理」だと思つてゐる人が多い。私も自由主義について詳しく知る前はさう考へてゐて、芥川龍之介の「自由は山嶺の空氣に似てゐる。どちらも弱い者にはたへることはできない」といふ言葉を格好よいなどと思つてゐた。 しかし實際は違ふ。む…