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戰爭はいかがはしい商賣

世の中には、戰爭を崇高な行爲と崇める一方で、商賣を俗惡な行爲と蔑む人々がゐる。しかし戰爭の多くは商賣である。それも、顧客が望む品質・價格の商品を自發的に贖入してもらふ、まつたうな商賣ではない。多くの人々の生命を犠牲にしながら、しばしば劣惡…

戰爭の無力

人間はしばしば、自分の信じる價値觀を他人にも共有してもらひたいと考へる。その手段が言葉による説得であれば問題はない。しかし暴力や脅迫による強制は、間違つた手段である。とりわけ、大勢の人々を卷き込む戰爭といふ究極の暴力によつて特定の價値觀を…

特攻命令といふ殺人

大東亞戰爭で日本陸海軍が行つた體當たりによる自爆攻撃、すなはち特攻は、日本人の誇りであると稱へる者が少なくない。たしかに、國を守るためと信じ、若い命を捧げた隊員たちの態度は心に迫る。ところがその一方で、志願の建前とは裏腹に若者に特攻を命令…

戰爭は野蠻の衝突

戰爭は「文明の衝突」だといはれることがある。しかしそれは適切な表現ではない。なぜなら文明の本質は平和だからである。暴力を本質とする戰爭は、むしろ「野蠻の衝突」と呼ぶべきである。 米國の政治學者サミュエル・ハンチントンは1996年の著書『文明の衝…

兵士は政治の駒

昔から、兵士になることを志願する若者の多くは、純粹な使命感にあふれてゐる。しかし同時に、その使命感と尊い命は、しばしば政府によつて誤つた目的に利用される。その大義名分として唱へられるのが「國益」や「國際貢獻」である。 ジャーナリストの布施祐…

自國政府から身を守れ

先日書いたやうに、日本國憲法は國家(政府)の自衞權を否定してゐる。このやうに言ふと、「外國の脅威に無防備になつてしまふ」といふ反論が返つてくるだらう。しかしこの反論は二つの事實を見落としてゐる。一つは、憲法が否定するのは國家の自衞權であり…

獨裁者リンカーン

スティーヴン・スピルバーグ監督の映畫『リンカーン』は、主演のダニエル・デイ=ルイスをはじめ、好きな役者が何人も出てゐるけれども、觀に行く氣がしない。映畫評で知るかぎり、「奴隸解放の父」こと第十六代アメリカ合衆國大統領エイブラハム・リンカー…

自衞權はいらない

自衞權は國家固有の權利であり、獨立國である以上、自衞權を持つのは當たり前だ――。政府はこのやうに主張し、國民の多くもさう信じてゐる。しかし國家が自衞權を持つといふのは、個人の正當防衞權とは異なり、けつして自明の理ではない。とりわけ日本におい…

平和主義を手放すな

平和主義といへば、日本國憲法の基本原則にも掲げられる考へ方だが、最近すこぶる評判が惡い。東アジアの國際情勢が緊張する中で、現實味のないユートピア主義にすぎないとの見方が、智識人だけでなく、一般の人々の間でも強まつてゐる。しかし平和主義は、…

【飜譯】リバタリアンの戰爭理論(ロスバード)

マレー・ロスバード (2011年5月16日、ミーゼス研究所デイリー・コラムより。The Myth of National Defense 〔『國防の神話』、2003年、未邦譯〕より拔粹) リバタリアン運動は、現代の主要な問題に立ち向かふうへで「戰略的知性」を利用できてゐないと、ウ…

【飜譯】ハリー・トルーマンと原爆(ライコ)

ラルフ・ライコ (2010年11月24日) Harry Truman and the Atomic Bomb - Ralph Raico - Mises Dailyハリー・トルーマンの米大統領任期中もつとも鮮烈な出來事は、決して忘れられることはないだらうし、トルーマンの名と永遠に切り離せないだらう。すなはち…

【飜譯】米聯銀はどのやうに第一次大戰の戰費調達を助けたか(コーニング)

ジョン・ポール・コーニング (2009年11月19日) How the Fed Helped Pay for World War I - John Paul Koning - Mises Daily 政府が買物の支拂ひをする方法は三通りある。課税、借金、インフレーション(貨幣量の膨脹)だ。國民がふつう意識するのは最初の…

南北戰爭の虚像と實像

日本のメディアではほとんど話題にされないけれども、今年はアメリカ南北戰爭(1861-65年)開戰百五十周年の節目にあたる。アメリカでは終戰百五十周年までの五年間、數々の講演、展覽會、シンポジウムが豫定されてゐるといふ。南北戰爭は兩軍あはせて六十二…

『老子』

『老子』(小川環樹譯註、中公文庫、1973年)戰勝のしらせが屆けば、銃後の國民は花火を上げ、旗行列をして喜ぶ。凱旋將軍は群衆の歡呼と小旗の波に包まれ、盛大な出迎へを受ける。洋の東西を問はず、どこにでも見られる光景だらう。戰爭に勝てば、それを祝…

『原爆投下決断の内幕』

ガー・アルペロビッツ『原爆投下決断の内幕――悲劇のヒロシマ・ナガサキ』(上下、鈴木俊彦他譯、ほるぷ出版、1995年)原爆投下決断の内幕〈上〉―悲劇のヒロシマナガサキ作者: ガーアルペロビッツ,Gar Alperovitz,鈴木俊彦,米山裕子,岩本正恵出版社/メーカー:…

トムは真夜中の庭で

「そのときから、ここへきて住んでるの?」 「そのときからじゃない。バーディとわたしは、低地地方でくらしていて、たいへんしあわせでね。子どもは、男の子がふたり生まれた。ふたりとも大戦――いまでは第一次世界大戦といっているようだが、あの戦争で戦死…

私の戰爭觀

なんだか偉さうな題名だが、一度書いておかないと前に進めないので、書いておきたい。私はかつて戰爭を積極的に肯定してゐた。人間にはそれぞれ生命にかけても守りたいと信じるものがあり、それを守るためには、時には暴力の行使も止むを得ない、いやそれど…

チャルマーズ・ジョンソン死去

チャルマーズ・ジョンソン死去。『通産省と日本の奇跡』は感心しないが、リバタリアンが戰爭と平和を考へる際の必讀書をいくつか著してゐる。アメリカ帝国への報復作者: チャルマーズジョンソン,Chalmers Johnson,鈴木主税出版社/メーカー: 集英社発売日: 20…

「アバター」と戰爭の正義

大ヒットした映畫「アバター」は、人間と宇宙人が戰ふ物語だ。だが普通のSF映畫と違ひ、宇宙人が地球を襲ふのではない。その逆だ。人間たちが異星パンドラの地中から稀少鑛物を手に入れようと、邪魔になる森林を切り倒し、古くから住む種族を武力で追放し…

侵掠される日本

外國による侵掠を恐れない人はゐない。侵掠された國民の運命は悲慘だ。生命を奪はれ、財産を奪はれ、勞働を強制される。つまり暴力によつて自由を奪はれる。そのやうな悲慘な運命をたどりたくないから、たいていの國は軍隊を持ち、外敵の侵掠に備へる。日本…

陰謀論を笑ふな

民主黨の藤田幸久國際局長(參議院議員)が2001年9月11日の米同時多發テロについてテロリストの犯行かどうかに疑問を挾んだとして、米紙ワシントン・ポストが社説で同議員を酷評した。異樣だ。實に異樣だ。藤田議員の發言内容ではない。ワシントン・ポストが…