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大恐慌の眞實――通説を疑ふ(3)

大恐慌について學術的により洗煉された説は、米國中央銀行である聯邦準備制度が民間への資金供給を十分に増やさなかつたためといふものだ。當時の聯銀の指導者らが無能で、資金を増やさなければならない時に何もしなかつた(あるいは事もあらうに資金を減らしてしまつた!)のがいけないといふ。これはノーベル經濟學賞を受賞したミルトン・フリードマンが唱へたもので、現在では主流派經濟學者の間でほぼ定説となつてゐる。

だがこれにも素朴な疑問が生じる。聯銀の創設は1913年だ。もしフリードマンのいふやうに聯銀の無策が大恐慌を引き起こしたのなら、なぜ聯銀が存在すらしなかつた時代にもつと深刻な恐慌が起きず、聯銀ができた後になつて米國史上最惡の不況が襲つたのだらうか。 フリードマンリバタリアニズムを代表する經濟學者の一人として知られ、政府による經濟への介入を批判する有益な研究・提言を多く行つてゐるが、こと大恐慌の原因に關しては、その主張は十分な吟味が必要と思はれる。

今後、大恐慌に關する通説が神話にすぎないことを具體的に論證してゆく。(この項終はり)

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