質問と囘答

リバタリアニズムFAQ)政府に對する二つの立場――「無」か「最小」か

リバタリアニズムは政府がまつたく必要ないと考へるのか。 リバタリアニズムは個人の自由に對する政府の介入に反對しますが、ここから政府の役割について二つの立場が生じます。一つは「個人の自由を守るといふ役割だけは政府に認める」といふ立場、もう一つ…

リバタリアニズムFAQ)リバタリアニズムつて何?

リバタリアニズムに關するよくある疑問・批判に答へるコーナーです。「リバタリアニズムQ&A」を改題します。まづはあらためて最も基本的な疑問から。 そもそもリバタリアニズムとは何なのか。 リバタリアニズム(libertarianism)とは、他者の權利を侵害…

リバタリアニズムQ&A)日本人が學ぶ意味は?

リバタリアニズムが言ふとほり、經濟を自由に任せれば人間は物質的に豐かになるかもしれない。だが人間は物質的に豐かになると道徳的に墮落する。だから自由は規制すべきだ。 「人間は物質的に豐かになると道徳的に墮落する」と信じる人が自發的に「清貧」を…

リバタリアニズムQ&A)虚無主義か?

リバタリアニズムの目的は自由だと言ふが、自由とは何かを行ふための條件であつて、目的そのものにはなり得ない。リバタリアニズムは價値觀を持たない虚無主義ではないか。 リバタリアニズムは政治哲學の一種です。政治哲學には、コミュニタリアニズム(共同…

リバタリアニズムQ&A)相對主義か?

コメント欄でのやりとりなどを通じ、リバタリアニズムに對する疑問がいろいろわかつてきました。ときどき、それらをQ&Aの形でまとめてみます。その第1囘。 リバタリアニズムはすべての自由を認めるのだから、リバタリアニズムを否定する自由も認めること…

リバタリアニズムは弱肉強食か

市場經濟の下では力のあるものだけが豐かになり、力のないものは貧しさを強いられる。市場經濟を信奉するリバタリアニズムは弱肉強食の無慈悲な思想だ――。これもよくある根據なき批判だ。弱肉強食の世界では力こそ正義であつて、もめ事は暴力で解決する。だ…

リバタリアニズムはアメリカ思想か

リバタリアニズムをアメリカの特殊な思想だと思つてゐる人は少なくない。たしかに今の世界で、小さな政府を志向するリバアリアニズムが、決して多數派ではないにしても、學問的にも政治的にも一番盛んな國はアメリカだらう。しかしリバタリアニズムはアメリ…

リバタリアニズムは市場萬能主義か

「リバタリアンは市場に任せればすべてがうまくゆくと思つてゐる」と批判されることがある。だが市場は人間の集まりであり、人間が神でない以上、過ちは避けられない。リバタリアンが説くのは、市場では過ちも起こるが、政府の犯す過ちに比べその惡影響はは…

リバタリアニズムは性善説か

リバタリアニズムに對するよくある批判の一つは「政府の權限を小さくせよといふ主張は、人間がすべて善人といふ思ひ込みを前提としてをり、非現實的」といふものだ。しかしこれはまつたく根據のない誤解だ。現實の世界では、全員が善人ではあり得ない。リバ…

客觀的な正義など

「最低の道徳」即「刑法」と言つたのは、要は「道徳ではないです」と云ふ事。(2010/04/15 03:15) それでは論理が成立しません。「最低の道徳」も道徳である以上、野嵜さんは「道徳は道徳でない」と仰つてゐることになります。 客觀的な正義なるものは存在…

共同體の秩序維持など(1)

野嵜さん ケルゼンに據れば……・共同體の一員が勝手に他人を殺すのは犯罪である ・勝手に他人を殺した共同體の一員を、共同體の秩序を維持する爲に共同體が死刑に處するのは犯罪ではない……となつてゐます。その邊の區別について、木村さんは如何御考へですか…

共同體の秩序維持など(2)

程度の差はあれ、全ての自由主義國は、福祉制度の充實に限らず、年金制度、健康保險制度、その他の社會保障制度の充實を行つてゐます。日本も例外ではありません。(2010/04/13 22:49) 皆がやつてゐるから正しい政策、とは言へません。 福祉や社會保障の充…

「外部の理由により判斷」など

野嵜さん、またこちらに書きます。 我々は、生命にしても財産の自由にしても、存在して良いか良くないかを、それ自體として判斷しません、外部の理由により判斷します。 すると私や私の家族が「存在して良いか良くないか」は、誰かがその場その場の「外部の…

經濟と道徳など

野嵜さん、こちらに書きます。 正直、經濟の話と正義の話を結び附けるのは賛成しかねます。或は、生延びる爲のパンを得る爲の御金に關する事と、より善く生きる道徳とは、結び附かないと思ひます。 財産權を道徳と結びつけて論じるのは、少なくとも西洋では…

政治思想と政治體制など

三宅龍太郎さんといふ方がいくつかの記事に言及してくださつてゐます。以下、それに對する私の意見を記します。 通貨の話をされるなら発行主体(国や政府)の信用が何うであるか、その信用を獲得する為には何が必要か、を考えなければならないのでは。 (「…