2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

大恐慌の眞實――何が原因だつたのか(3)

米聯銀が本當にインフレを極度に恐れる存在であれば、世の中に出囘るおカネの量(通貨供給量=マネーサプライ)をできるだけ抑へるはずだ。カネの量が増えれば増えるほど、物價が上昇しやすくなるからだ。しかし實際には、大恐慌に先立つ時期におカネの量は…

大恐慌の眞實――何が原因だつたのか(2)

それにしても、どうして大恐慌當時、聯銀は資金の供給を絞つてしまつたのだらう。ジャーナリストの池上彰は株暴落に先立つ聯銀の行動について次のやうに解説する。 株価が上がって景気が過熱してくるものですから、インフレを心配するんですね。中央銀行とい…

大恐慌の眞實――何が原因だつたのか(1)

大恐慌はなぜ起きたのか。前項で書いた通り、現在、主流派經濟學者の間ではマネーサプライ(通貨供給量=世の中に出囘るカネの量)の急激な減少が原因との見方がほぼ通説となつてゐる。これはノーベル經濟學賞を受賞したミルトン・フリードマンがアンナ・シ…

大恐慌の眞實――通説を疑ふ(3)

大恐慌について學術的により洗煉された説は、米國の中央銀行である聯邦準備制度が民間への資金供給を十分に増やさなかつたためといふものだ。當時の聯銀の指導者らが無能で、資金を増やさなければならない時に何もしなかつた(あるいは事もあらうに資金を減…

大恐慌の眞實――通説を疑ふ(2)

大恐慌や經濟危機一般に關する通説には、細かく見ると、まつたくの俗説やかつて流行した理論、比較的洗煉された學説などが混在してゐる。 まづしばしば言はれるのが、人間の強慾が原因といふ説だ。これほど馬鹿馬鹿しい俗説はない。人間は別に資本主義が誕生…

大恐慌の眞實――通説を疑ふ(1)

1930年代に廣がつた米國の經濟危機、すなはち大恐慌は、一般的な見解によれば、市場經濟の「行き過ぎ」、資本主義の「暴走」が原因だつたとされる。そして大恐慌の「反省」を踏まへ、政府は經濟活動を自由放任に委ねるのでなく、適切に規制して危機の發生を…