2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『新ナニワ金融道』と惡法の問ひ

『ナニワ金融道』のマンガ家、青木雄二が死去して今年で九年になる。青木が副業のエッセイなどでマルクスや共産主義を持ち上げるのには辟易したが、本業の『ナニワ金融道』はそんな政治的イデオロギーを感じさせず、貸金業の裏面を生々しく描いて文句なしに…

私作る人、僕奪ふ人(F・オッペンハイマー)

人間が生きるために必要な富を手に入れ、欲望を滿足させるには、根本的に對立する二つの手段がある。それは勞働と掠奪である。つまり自分で骨を折つて働くか、それとも他人が働いて得た成果を力づくで奪ひ取るかだ。掠奪とか力づくで奪ひ取るとかいふと、犯…

相場觀と正義感の物語――『世紀の空売り』

マイケル・ルイスの新刊『ブーメラン』がベストセラーになつてゐる。それに刺戟されてか、二年前に出た前著『世紀の空売り』(東江一紀譯、文藝春秋)がまた賣れ始めてゐるやうだ。『ブーメラン』も面白さうなのでいづれ讀んで感想を書きたいが、この機會に…

【飜譯】リバタリアンの戰爭理論(ロスバード)

マレー・ロスバード (2011年5月16日、ミーゼス研究所デイリー・コラムより。The Myth of National Defense 〔『國防の神話』、2003年、未邦譯〕より拔粹) リバタリアン運動は、現代の主要な問題に立ち向かふうへで「戰略的知性」を利用できてゐないと、ウ…