2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

マクロ經濟學のウソ

大規模な金融緩和や財政出動を柱とする安倍晋三政權の「アベノミクス」は海外でも賛否兩論だが、最も舌鋒鋭く批判した一人は、米國の經濟評論家ピーター・シフだらう。シフは1月のテレビインタビューでかう語つた。「日本にこれ以上のインフレは必要ありませ…

「破綻しない」は良いことか

經濟評論家の三橋貴明は、最新刊『経済の自虐主義を排す――日本の成長を妨げたい人たち』(小学館101新書)で、日本政府の負債(借金)はすべて日本圓建てだから、圓をいくらでも發行できる日本政府が財政破綻することはありえない、といふ持論を繰り返す。だ…

古びない眞理

經濟學は時事問題を取り扱ふことが多いし、目新しい理論がしばしば脚光を浴びるので、何十年も昔の入門書など價値がないと思ふかもしれない。だがそれは誤解である。經濟學は人間の行爲についての學問であり、人間の本質が變はらないかぎり、過去に見出され…

『國富論』を稱へるな

前囘述べたとほり、アダム・スミスは『國富論』で、經濟學的に重大な誤りを含む議論を展開してゐる。『新・国富論』の浜矩子はこれらの議論に言及してゐるが、誤りであることを知らないらしく、批判するどころか、偉大なスミス先生の御説はやはりすばらしい…

デフレの神話

〔電子書籍『デフレの神話――リバタリアンの書評集 2010-12〈経済編〉』より「はじめに」を転載〕昨今、万人から忌み嫌われる悪役は映画やマンガの世界でもあまりお目にかからないが、現代経済学の世界にはそれがいくつかある。三つ挙げれば、まずデフレ(物…