2010-04-01から1ヶ月間の記事一覧

GDPのイデオロギー

GDP(國内總生産)の定義式を楯に政府支出の拡大を訴へるやうな經濟評論家たちは想像したこともないだらうが、GDPの概念には多くの問題がある。 GDP=民間消費+民間投資+政府支出+純輸出 右邊の各項目のうち、民間消費、民間投資、純輸出の増減…

市場經濟が嫌はれる理由

市場經濟が人間にもたらす恩恵は大きいにもかかはらず、一般の人々の間には不信や反感が根強い。市場經濟はなぜ嫌はれるのか。リバタリアンの經濟學者ウォルター・ブロックは、社會生物學の智識をもとに、市場經濟が人々に嫌はれる理由を次のやうに推測して…

サイバーケインジアン!

池田信夫と言へば、ウェブ論壇の著名人であり、經濟分野ではナンバーワンの人氣ブロガーだ。私も池田氏の文章はたいてい讀む。勞働や通信の規制に對する批判をはじめ、同感できるものも少なくない。規制緩和と聞いただけで「このネオリベ」といきり立つ輩が…

くたばれGDPフェチ

先日の記事で述べたやうに、財政政策で國が豐かになることはない。政府が國民から富を取り上げ、それを他の國民にばらまいても、國民全體が豐かになることはない。ところがエコノミストや評論家の中には、財政政策で國が豐かになると力説する人が少なくない…

財政政策の幻想

政府が行ふ經濟對策は有害無益なものばかりだが、「財政政策」もその一つだ。ひと頃は豫算の無駄遣ひといふ非難を浴びて鳴りを潛めてゐたが、最近の不景氣で「やつぱり必要」といふ聲が息を吹き返してきた。性懲りもないとはこのことだ。經濟學の教科書など…

客觀的な正義など

「最低の道徳」即「刑法」と言つたのは、要は「道徳ではないです」と云ふ事。(2010/04/15 03:15) それでは論理が成立しません。「最低の道徳」も道徳である以上、野嵜さんは「道徳は道徳でない」と仰つてゐることになります。 客觀的な正義なるものは存在…

共同體の秩序維持など(1)

野嵜さん ケルゼンに據れば……・共同體の一員が勝手に他人を殺すのは犯罪である ・勝手に他人を殺した共同體の一員を、共同體の秩序を維持する爲に共同體が死刑に處するのは犯罪ではない……となつてゐます。その邊の區別について、木村さんは如何御考へですか…

共同體の秩序維持など(2)

程度の差はあれ、全ての自由主義國は、福祉制度の充實に限らず、年金制度、健康保險制度、その他の社會保障制度の充實を行つてゐます。日本も例外ではありません。(2010/04/13 22:49) 皆がやつてゐるから正しい政策、とは言へません。 福祉や社會保障の充…

「外部の理由により判斷」など

野嵜さん、またこちらに書きます。 我々は、生命にしても財産の自由にしても、存在して良いか良くないかを、それ自體として判斷しません、外部の理由により判斷します。 すると私や私の家族が「存在して良いか良くないか」は、誰かがその場その場の「外部の…

經濟と道徳など

野嵜さん、こちらに書きます。 正直、經濟の話と正義の話を結び附けるのは賛成しかねます。或は、生延びる爲のパンを得る爲の御金に關する事と、より善く生きる道徳とは、結び附かないと思ひます。 財産權を道徳と結びつけて論じるのは、少なくとも西洋では…

政治思想と政治體制など

三宅龍太郎さんといふ方がいくつかの記事に言及してくださつてゐます。以下、それに對する私の意見を記します。 通貨の話をされるなら発行主体(国や政府)の信用が何うであるか、その信用を獲得する為には何が必要か、を考えなければならないのでは。 (「…

「アバター」と戰爭の正義

大ヒットした映畫「アバター」は、人間と宇宙人が戰ふ物語だ。だが普通のSF映畫と違ひ、宇宙人が地球を襲ふのではない。その逆だ。人間たちが異星パンドラの地中から稀少鑛物を手に入れようと、邪魔になる森林を切り倒し、古くから住む種族を武力で追放し…

財産權? それが何か?

個人の財産權は侵すことのできない神聖な權利だと考へるリバタリアンの立場から見ると、政府が課税やインフレ(通貨量の膨脹)によつて個人の財産を奪ふことは、「民間」の強盜と同じく、犯罪行爲に外ならない。だが殘念ながら、その道理を認め、國民の財産…

他人の金で生きる自由?

橘玲『貧乏はお金持ち』(講談社、2009年)の「まえがき」(ウェブで公開されてゐる)はかう始まる。 この本のコンセプトは単純だ。/自由に生きることは素晴らしい。(3頁、強調は原文) たしかに自由に生きることは素晴らしい。だがその自由をどう守るのか…

インフレはなぜ「インフレ」か

石油や食料品など一部の商品が値上がりするだけでは、インフレとはいいません。インフレとは物価全体が持続的に上昇する現象を指すのです――。經濟學の入門書によくこんな解説が書いてある。素直な讀者は「なるほど、これで經濟リテラシーが高まつた」と喜ぶ…