2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

正しい税制を判斷するたつたひとつの基準

國際通貨基金(IMF)が日本に對する年次報告書で、來年度から消費税率を引き上げるべきだと提言し、消費増税の是非があらためて議論を呼んでゐる。その議論の延長として、消費税率を引き上げる代はりに、法人税率を引き下げて日本企業の競爭力を高めよと…

リバタリアニズムFAQ)政府に對する二つの立場――「無」か「最小」か

リバタリアニズムは政府がまつたく必要ないと考へるのか。 リバタリアニズムは個人の自由に對する政府の介入に反對しますが、ここから政府の役割について二つの立場が生じます。一つは「個人の自由を守るといふ役割だけは政府に認める」といふ立場、もう一つ…

リバタリアニズムFAQ)リバタリアニズムつて何?

リバタリアニズムに關するよくある疑問・批判に答へるコーナーです。「リバタリアニズムQ&A」を改題します。まづはあらためて最も基本的な疑問から。 そもそもリバタリアニズムとは何なのか。 リバタリアニズム(libertarianism)とは、他者の權利を侵害…

資本主義成敗の茶番――『ジャングル』の時代(3)

ニューレフトの歴史家で、リバタリアンからも高く評價されるガブリエル・コルコはかう書いてゐる。 もし精肉業者の力が眞に絶大で、本心から法案に反對してゐたとすると、壓倒的な賛成票を説明できない。事の眞相はもちろん、大手精肉業者は規制の心温かい友…

資本主義成敗の茶番――『ジャングル』の時代(2)

まづ『ジャングル』に描かれた劣惡な勞働條件や衞生環境は、大幅に誇張されてゐた。同書が出版された1906年に政府が實施した精肉業者に對する調査は、その年のうちに結果が内々に報告されたが、一讀したルーズヴェルトは「ひどいものだ」と論評しただけで、…

資本主義成敗の茶番――『ジャングル』の時代(1)

二十世紀初頭の米國で「革新主義(Progressivism)」と呼ばれる改革運動が起こつた。その旗印は、獨占資本を打破し、米國社會に本來の自由を取り戻すことだつた。この運動を背景に、米國政府は樣々な經濟的規制を打ち出した。代表的なのは日本の獨占禁止法に…

ダン・イン・ワンダーランド

「あなたの話、何言ってるのか、さっぱりわからないわ」と、アリスは言いました。(ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』、脇明子譯、岩波少年文庫、89頁) 企業經營の經驗があつても、經濟の仕組みを理解してゐるとは限らない。桁外れの讀書量を誇つても…