2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧

亡國の經濟學

藤井聡・中野剛志『日本破滅論』(文春新書)で對談者の二人は、公共事業に消極的な主流派經濟學を罵倒し、日本を破滅させないためには、大規模な公共事業を斷行せよと主張する。もちろん、自分たちの主張こそ亡國に導くものだとは、まつたく氣づいてゐない。…

「デフレは惡」の呪縛

若田部昌澄・栗原裕一郎『本当の経済の話をしよう』(ちくま新書)は、すばらしい部分と惜しまれる部分が混在してゐる。經濟學者で先生役の若田部は、評論家で生徒役の栗原に、多彩なエピソードを交へて經濟學の基本をわかりやすく講義する。すばらしいのは…

良い金持ち・惡い金持ち

「金持ちになるには二つの方法がある。富を創出する方法と、他人の富を奪う方法だ」。ノーベル賞受賞經濟學者で、すでに多くの著作が邦譯されてゐるジョセフ・スティグリッツは、最新刊『世界の99%を貧困にする経済』(楡井浩一・峯村利哉譯、徳間書店)の初…

中央銀行はいらない

今の日本で「日銀を廢止せよ」などと言へば、頭のをかしい奴としか思はれまい。しかし米國には、中央銀行廢止論を三十年以上も大まじめに主張しつづけてゐる國會議員がゐる。大統領選にも何度か出馬した、聯邦下院議員のロン・ポール(テキサス州選出、共和…