2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧

政府に治安を任せるな

たいていの經濟學者は、警察、司法、國防を民間では供給できない特殊なサービスとして、政府による獨占を認める。だがそれは間違つてゐる。社會の治安を守るこれらのサービスは、きはめて重要だからこそ、非效率な政府に任せず、自由な競爭がある民間で供給…

保守は經濟がわからない

1989年前後にソ聯・東歐の社會主義諸國が崩潰し、左翼言論人が信奉するマルクス經濟學の威信は地に墮ちた。それ以來、讀者を増やしたのが保守派言論人の經濟論である。「左」の經濟論が間違つてゐたのだから、「右」のそれは正しいだらうと人々が思ひこむの…

新自由主義者の意地

今年1月に死去した經濟學者、加藤寛(慶應義塾大學名譽教授)の遺作『日本再生最終勧告――原発即時ゼロで未来を拓く』(ビジネス社)が刊行された。副題にあるとほり、加藤は本書で原子力発電の即時停止と廢爐を主張してゐる。加藤がかつて自民黨政權のブレー…

疑似科學を信じるな

かつてレーガン米大統領は、政策判斷に占星術師の意見を取り入れてゐたことが曝露され、世間の物笑ひになつた。しかし少なくとも現在の日本人にレーガンを笑ふ資格はない。占星術と五十歩百歩の疑似科學によつて經濟政策を決めようとしてゐるからだ。その疑…

サンデル教授、ちょっと変ですよ

〔電子書籍『サンデル教授、ちょっと変ですよ――リバタリアンの書評集 2010-12〈政治・社会編〉』より、「はじめに」を転載〕 本文でも取り上げるマイケル・サンデル『ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業』という本で、政府による課税と再分配を支持する…