呉智英
昨日(11月19日)、呉智英先生にお會ひした。大學生だつた二十七年前、文化祭で講演を聽いて以來、お目にかかるのは初めてである。親しくお話しすることもでき、すばらしいひとときを過ごすことができた。今囘は、呉先生を講師とする名古屋の名言塾、東京の…
名古屋に住んでゐた四年前に書いた文章の再掲です。河村たかし旋風で全國的に注目された今年の統一地方選の話ではありませんので、ご注意を。 ☆愛知縣民以外は誰も知らないと思ふが、来月、愛知縣知事選がある。地元の新聞各紙は關聨記事を連日掲載してゐる…
スイスに來て二年目、すなはち1999年の新春である。仕事や生活がやうやく落着いたのを機に、勇を鼓し、私は呉氏に初めて手紙を書いた。宛先は、呉氏の著作を多く出してゐる双葉社編輯部氣附である。永年の愛讀者であること、「噂の眞相」への投稿を著作で紹…
1998年頃だつたと思ふ。呉氏は、保守派論客によるシンポジウム(「新しい教科書をつくる会」關係だつたかもしれぬ)にゲストとして招かれた席上、「私は天皇制廢止論者である」と發言し、物議を釀した。激しい左翼批判で知られた呉氏の「反天皇發言」は、言…
これまで鏤々述べたやうに、私は呉智英氏の永年の讀者である。ひところは、單行本のみならず、呉氏の文章が載つてゐさうな雜誌を書店で片端から物色したものである。現在は廢刊となつたNHK出版の月刊雜誌「Be-Common」を都内の書店でふと立ち讀みしたら、…
岡庭昇氏は私と保坂氏との投稿に對し、次號3月号の投書欄で早速反論してきた。「汚れ切つた政治的動物どもに」といふ凄まじい題名である。私にたいする批判の部分を引用する。 木村貴氏への質問。あなたは呉智英先生の文章を読んでいないと公言しているが、…
呉智英氏が月刊誌「噂の眞相」にエッセイ「折々のバカ」を一年にわたり連載し始めたのは1986年秋、私は卒業を控へた大學四年生になつてゐた。同年12月號に載つた第三囘は、渡辺和博著『金魂巻』に對する上野昂志氏の論評を俎上に載せ、上野氏及び岡庭昇氏ら…
『封建主義、その論理と情熱』を讀んで數ケ月後、大學の學園祭に呉氏が講演者として招かれることを知り、その偶然に驚いた。呉氏の話を直接聽けるのは非常に嬉しく、ぜひ行かうと思つたが、一つだけ困ることがあつた。當時テレビの深夜番組「オールナイトフ…
『封建主義…』の後、『インテリ大戰爭』や『大衆食堂の人々』なども讀むうち、すつかりファンになつてしまつた。呉氏の思想が徐々に理解できるやうになつたこともあるが、同じくらゐ魅力に感じたのは文章である。主張は明確、表現は明晰で紛れがない。「逃げ…
本日から掲載する「呉智英氏の思ひ出」は、十一年前に公開した文章の再掲です。 ☆九州から上京し、大學に通ひ始めて間もないころだつた。國分寺驛前の本屋で何か面白さうな本はないかと物色してゐると、題字の背景が赤で、虎と竹林と黒い兜の武士(恐らく加…
文章を書くのが好きな人なら、きつと自分の考へ方や書き方に影響を及ぼした著作家があることだらう。私の場合、日本人に限れば少なくとも三人の名を舉げることができる。ベストセラーを連發する作家やジャーナリストに比べれば知名度こそ劣るが、その文章は…